秘密保持

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公認心理師法において、「公認心理師は、正当な理由がなく、その業務に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならない」とあるように、秘密の保持が義務付けられています。語られた内容の秘密が守られるからこそ、支援の場の安全性や生活空間との非連続性が保障され、支援の場として機能するようにもなるといった側面もあるため、基本的にはクライエントの情報はクライエントとの関係性の中だけに収めておく必要があるのです。
また、「公認心理師でなくなった後においても、同様とする」とあるように、その義務は生涯にわたるものです。
それだけ重要な秘密保持にも、例外となる状況がいくつか挙げられます。情報を開示する正当な理由となるのは、他害や自傷の恐れがある場合や、虐待の可能性がある場合、また、本人の同意がある場合などです。
他害の可能性がある場合は守秘義務の例外となる、といったことの根拠として有名なのが、アメリカのタラソフ事件です。
タラソフ事件とは、大学の医療センターに通所していたポダーという男が、セラピストに対してタチアナ・タラソフという女性を銃で撃つという宣言をし、後日宣言通りの行動をとってタラソフを射殺した事件です。
タラソフの両親は、ポダーがタラソフを殺害する可能性がある事を知りながら、タラソフに知らせなかったことについて、セラピストやスーパーバイザーの医師を相手に訴訟を起こしました。
この訴えに対して、カリフォルニア最高裁判所は、「患者が人に危険を及ぼすことが予測されたとき、医師やセラピストは、この危険に対処する責務がある。すなわち、治療関係以外の開かれた場所で被害が起こるのであれば、その時点で守秘義務は解除される」としました。
また、虐待が疑われる場合には守秘義務の例外となることについては、法律で記載されています。
その他、本人の同意がある場合は、守秘義務の例外となります。ケース・カンファレンスやコンサルテーションのような場で、直接かかわっている専門家同士で話し合うような場合であっても、クライエントに関する情報を第三者に提供する必要がある場合には、本人にその旨を説明し、同意を得ることが基本的には必要だとされています。
ただし実際には、例えばいじめやハラスメントが生じている状況で、その状況に対処するために第三者との情報共有が必要だと考えられるものの、本人の同意が得られないような場合もあります。
そして、そのような場合をはじめとして、情報の開示の可否に関して境界がはっきりと定められていないことは少なくありません。
そのため現場では、守秘義務に関して限界があることを早い段階でクライエントに説明して理解を求めたり、第3者に通報する場合には可能な限りクライエントと誰に、何を、どのように伝えるかなどを協議してから伝えるようにしたりといった、秘密の保持と現実的な対処の両立に努め、クライエントの心身両面の安全確保を図ることが重要になります。また、秘密の守秘よりも危機回避を優先させた場合にも、可能な限り事後にクライエントにその旨を説明するといった必要があると考えられています。

<参考文献>

  • 池田正俊 2018 法と精神療法:守秘義務など 精神療法44(1)p.36-41
  • 一般財団法人日本心理研修センター(監修) 2018 公認心理師現任者講習会テキスト 金剛出版

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2018-47,59,147

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