障害者の雇用の促進等に関する法律

障害者の雇用の促進等に関する法律

 この法律は、障害者である労働者は、経済社会を構成する労働者の一員として、職業生活においてその能力を発揮する機会を与えられるものとし(第3条)、職業に従事する者としての自覚を持ち、自ら進んで、その能力の開発及び向上を図り、有為な職業人として自立するように努めなければならない(第4条)といったことを理念としています。そのために、①障害者の雇用の促進等のための措置、②障害者と障害者でない者との均等な機会及び待遇を確保し、障害者がその有する能力を有効に発揮することができるようにするための措置、③職業リハビリテーションの措置、④その他障害者が職業生活において自立することを促進するための措置を総合的に講じ、障害者の職業の安定を図ることが目的となっています(第1条)。

 この法律では、自律の促進や職業の安定を図るため、障害者職業センターや障害者就業・生活支援センターが規定されています。
 障害者職業センターは、障害者職業総合センター、広域障害者職業センター、地域障害者職業センターの設置運営をおこないます(第19条)。このうち、職業リハビリテーションに関する調査及び研究や、障害者の雇用に関する情報の収集、分析及び提供、障害者職業カウンセラー及び職場適応援助者の養成及び研修などをおこないます(第20条)。
 障害者就業・生活支援センターは、職業生活における自立を図るために就業や就業に伴う日常生活、または社会生活上の支援を必要とする障碍者に対して、雇用、保健、福祉、教育等の関係機関との連携を図りつつ、身近な地域において必要な指導、助言その他の支援を行うことによって、雇用の促進および職業の安定を図ることを目的とする施設です(障害者就業・生活支援センターの指定と運営等について 2002)。都道府県が主体となって支援をおこなっていきます。

 その他、この法律では障害者に対する差別の禁止が謳われており、事業主は、賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇について、労働者が障害者であることを理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをしてはならないとされます(第35条)。事業主は、進んで、身体障害者、知的障害者又は精神障害者といった(第37条第2項)障害者の雇入れに努めなければならず(第37条第1項)、雇用するこれら障害者の労働者の数が、法定雇用障害者数以上であるようにしなければなりません(第43条)。求人に際して、障害者のみを対象とする求人(いわゆる障害者専用求人)は、障害者を有利に取り扱うものであり、禁止される差別には該当しません(障害者雇用促進法に基づく障害者差別禁止・合理的配慮 に関する Q&A 【第二版】Q3-1-4)。

 また、事業主は、労働者の募集及び採用に当たって、障害者からの申出によって、過重な負担にならない範囲で障害の特性に配慮した必要な措置を講じなければなりません(第36条の2)。このように、合理的配慮の提供は事業主の義務ではありますが、採用後の合理的配慮について、事業主が必要な注意を払ってもその雇用する労働者が障害者であることを知り得なかった場合には、合理的配慮の提供義務違反を問われません(雇用の分野における障害者と障害者でない者との均等な機会若しくは待遇の確保又は障害者である労働者の有する能力の有効な発揮の支障となっている事情を改善するために事業主が講ずべき措置に関する指針:合理的配慮指針p.2)。

関連問題

●2022年-問3 ●2018年-問39

参考文献