出題傾向
出題傾向を分析する上での問題
公認心理師として活動するために最低限必要な知識が、公認心理師試験では問われます。どのような知識がそれに当たるのかを知るためには、過去の問題を分析することが役に立ちます。
ただしここで、”どのように分析するのか”が問題になります。各問題をブループリントのどの領域に対応するか当てはめながら分析していくこともできるでしょうし、正答だけに注目して分析していくこともできるでしょう。1つの問題から複数の要素を抽出することもできれば、1つの問題はそれ以上分けずに扱っていくこともできるでしょう。各問題や年をまたいで分析するための、一貫した基準を何に置くかということが問題になってきます。
出題傾向を分析する方法
様々な考え方の中から、当サイトでは、「試験問題中の単語をキーワードとしてカウントし、その出現頻度に注目して分析する」ことにしました。理由は、それが私にとって安定して問題を分析できる基準のように思われたからです。私は、例えば各々の試験問題すべてを特定のジャンルに振り分ける一貫した基準のようなものは、見つける事ができませんでした。一方で、問題文中にある単語であれば、比較的安定して認識できるように思われました。
キーワードの抽出方法は、名詞であることです。しかし、名詞というと、「生活」とか「水」といったものも該当してしまうため、すべての名詞の中から私が試験におけるキーワードだと思ったものを拾い上げています。具体的には人名や、検査名、疾患名や心理療法名、法律名、援助機関名、その他専門用語だと感じられたものなどです。それ以外の名詞も抽出しています。
例えば、2018年の問1からは下線部の名詞をキーワードとして抽出しています。
サイコロジカル・ファーストエイドを活用できる場面として、最も適切なものを1つ選べ。
① インテーク面接
② 予定手術前の面接
③ 心理検査の実施場面
④ 事故現場での被害者の救援
⑤ スクールカウンセリングの定期面接
2019年の問1からは以下の下線部の名詞をキーワードとして抽出しています。
公認心理師の登録取消しの事由として、正しいものを1つ選べ。
① 成年被後見人になった。
② 民事裁判の被告になった。
③ クライエントの信頼を失った。
④ スーパービジョンを受けなかった。
⑤ 保健医療、福祉、教育等の担当者と連携しなかった。
皆さんだったらどの名詞をキーワードとして選択するでしょうか。おそらく全て私と同じキーワードを抽出した人はいないでしょう。このように、ある1時点でのキーワード抽出は非常に主観的なものです。ただし、ある時点で抽出されたキーワードは過去問題全ての範囲から出題された回数をカウントする事で、最終的に抽出されたキーワードの妥当性を確保したいと考えています。
例えば、2018年では拾い上げなかった単語があったとします。しかし同じ単語を2019年でキーワードとして選択した場合、2018年の単語も数としてカウントするようにします。そうすると、ある時点で拾わなかった名詞でも、試験に繰り返し現れる名詞ほど、どこかの段階で拾い上げる可能性が高くなると考えられます。キーワードと認識されないような名詞だったり、出題頻度が低い名詞だったりは、拾われない可能性が高まりますが、それは試験合格においては優先的に覚える必要はないものであるとも考えられます。ただし、これは重要でない知識というわけではありません。重要でない知識というものはないという事には注意してください。
ちなみに、些細なことですが、私がキーワードなのか判断に迷うような名詞は、迷った時点で抽出しています。そのキーワードをどうするかは、抽出するかどうかの時点ではなく、抽出してカウントてから決めればいいことだと考えているからです。
以下はキーワード抽出において原則としているものです。
キーワードは、基本的に記載されているものそのままの形となっています。例えば、上記2018年、問1では「サイコロジカル・ファーストエイド」をキーワードの1つとして抽出していますが、それは「サイコロジカルファーストエイド」でも、「PFA」でもありません。同じように、「スクールカウンセリング」も「スクールカウンセラー」ではありません。異なる表記のものは、似たものであっても別のものとしてカウントしています。
キーワードは、選択肢を含めた同一問題において複数個抽出され得ますが、同一キーワードのカウントは、選択肢を含めた同一問題において最大1カウントです。問題文中に同じキーワードが複数回使われていても、問題文と選択肢で同じキーワードが複数回使われていても、選択肢の中に複数回使われていたとしても、カウントは1回となっています。
キーワード内に、複数のキーワードが含まれている場合、それは全てのキーワードでカウントされます。例えばWAIS-Ⅲというキーワードが出てきた場合、WAIS、WAIS-Ⅲ、それぞれで1回カウントされます。しかし、WAISというキーワードが出てきた場合、WAISではカウントされますが、WAIS-Ⅲではカウントされません。
カウントされているキーワードは、試験で用いられている文脈からは分離されている事に注意が必要です。例えば、2018年の問150からは、Müller-Lyer錯視をキーワードとして抽出していますが、この問題は実験について問うもので、知覚について問うものではありません。あくまでも、単語の水準に焦点を当てているのであって、必ずしも問題の文脈やジャンルとは関連していないという点を頭に留めておいてください。そういった事を差し引いたとしても、キーワードの出現頻度は、学びを進めていく上での大きなヒントになると考えています。
結果としての出題傾向
以下が、2019年、第3回公認心理師試験までで4回以上出現しているキーワードです。関連する情報が載っているページが作成されているものに関しては関連ページまで飛ぶことができます。参考までにどうぞ。
(キーワードの後ろの数字は出題回数です)
- 障害 80
- 公認心理師 79
- 児童 52
- 認知 52
- 教育 42
- 学校 40
- 発達 37
- 不安 36
- 医療 34
- 学習 32
- 感情 31
- 虐待 31
- クライエント 30
- ストレス 26
- 認知症 21
- 記憶 20
- 知能 20
- 児童相談所 18
- 抑うつ 18
- 福祉 17
- 自殺 16
- 心理検査 15
- スクールカウンセラー 15
- アセスメント 14
- うつ病 14
- 裁判所 12
- 知能検査 12
- 平均 12
- 予防 12
- 発達障害 11
- 一時保護 10
- 行動療法 10
- 産業 10
- 睡眠 10
- 態度 10
- 情報提供 9
- 被害者 9
- 連携 9
- DSM 8
- いじめ 8
- 依存 8
- 児童虐待 8
- 自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害 8
- ASD 8
- 知的障害 8
- 認知行動療法 8
- 不眠 8
- 幼児期 8
- Alzheimer型認知症 7
- 抗精神病薬 7
- 災害 7
- 条件づけ 7
- テストバッテリー 7
- 統合失調症 7
- 非行 7
- 不登校 7
- MPI 6
- 共感 6
- 公認心理師法 6
- 少年院 6
- 職場復帰 6
- ストレス反応 6
- せん妄 6
- 注意欠如多動症/注意欠如多動性障害 6
- AD/HD 6
- ネグレクト 6
- ひきこもり 6
- 秘密保持 6
- 副作用 6
- 保護観察 6
- 妄想 6
- KABC 5
- MAS 5
- WAIS 5
- エピソード記憶 5
- 解離 5
- 家庭裁判所 5
- 観察法 5
- 強化 5
- 行動観察 5
- 抗不安薬 5
- 自尊感情 5
- 親権 5
- スーパービジョン 5
- 知覚 5
- 知能指数 5
- 動機づけ 5
- 秘密保持義務 5
- Lewy小体型認知症 4
- MMPI 4
- WISC 4
- WISC-Ⅳ 4
- 学習性無力感 4
- 記憶障害 4
- 幻覚 4
- 視床下部 4
- 児童養護施設 4
- 少年鑑別所 4
- 心的外傷後ストレス障害 4
- ストレスチェック制度 4
- 成人期 4
- 性的虐待 4
- 青年期 4
- ソーシャルスキル 4
- 糖尿病 4
- 眠気 4
- 徘徊 4
- 発達段階 4
- 復職 4
- ベンダー・ゲシュタルト検査 4