更生保護法

更生保護法

 この法律は、犯罪を犯した人や非行のある少年に対して適切な処遇をおこなうことで、改善更生を助け、犯罪予防の活動の促進などをおこなうことで社会を保護し、個人と公共の福祉を増進することを目的としています(第1条)。

 各高等裁判所の管轄区域ごとに、仮釈放の許可や取り消し、少年院からの仮退院や退院の許可、仮退院者の収容の決定などの権限を有する合議機関、地方更生保護委員会が全国に設置されています(16条)。地方更生保護委員会がした決定について、法務省に置かれる中央更生保護審査会で審査を行い、裁決をするなどします(4条)。また、更生保護の第一線の実施機関として、各地方裁判所の管轄区域ごとに全国に置かれている保護観察所では、保護観察がおこなわれるとともに、犯罪の予防などが図られます(29条)。

 地方更生保護委員会の事務局と保護観察所には、保護観察官が置かれます(第31条)。保護観察官とは、更生保護に関する専門的知識に基づき、保護観察、調査、生活環境の調整その他犯罪をした者及び非行のある少年の更生保護並びに犯罪の予防に関する事務に従事する者です(31条第2項)。また、保護観察官で十分でないところは保護司が補います(32条)。
(ちなみに、保護観察所には、その他にも社会復帰調整官が置かれています(心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律:医療観察法 20条))

 刑事施設の長又は少年院の長は仮釈放に該当する期間が経過した場合には、地方委員会に通告しなければなりません(第33条)。地方委員会は、仮釈放を許すか否かに関する審理においては、その構成員である委員に審理対象者と面接させなければなりません(第37条)。仮釈放などの処分の決定は、地方委員会の決定によってなされます(第39条)。仮釈放等を許された者は、仮釈放の期間中、保護観察に付すことになります(40条)。

 保護観察対象者は、一般遵守事項として、保護観察に付されたときは、速やかに住居を定め、その地を管轄する保護観察所の長に届け出ることが求められます(50条)。また、転居や7日以上の旅行をするときは、あらかじめ、保護観察所の長の許可を受ける必要があります(50条第5項)。これら一般遵守事項に加えて、必要に応じて特別遵守事項が定められます。保護観察処分を受けた少年に対しては、保護観察所の長が家庭裁判所の意見を聴き、遵守すべき特別な事項を定めたり、変更したりすることができます(52条)。一方で、少年院仮退院者や仮釈放者に対しては、保護観察所の長が地方更生委員へ申し出て、地方更生委員によって特別遵守事項が定められたり、変更されたりします(52条)。

 ある種の犯罪的傾向を有する保護観察対象者に対しては、指導監督の一環として認知行動療法を理論的基盤とした専門的処遇プログラムが開発されています。専門的処遇プログラムとしては、性犯罪者処遇プログラム、薬物再乱用防止プログラム、暴力防止プログラム及び飲酒運転防止プログラムの4種があり、その処遇を受けることが義務付けられています(令和2年 犯罪白書)。

 保護観察処分を受けた少年は、20歳まで、もしくは2年に満たない場合は2年を目処に保護観察の期間が定められます(66条)。ただし、保護観察中にあらたに虞犯少年事由が認められる場合で、かつ20歳以上の対象者は、20歳以上であっても少年法の適用とされ、保護観察、少年院送致がとられる際には23歳を超えない範囲で期間が決められます。そして、期間の規定についてはこちらが優先されます(68条)。保護観察期間中に、保護観察処分少年が遵守事項を守らなかった場合には、保護観察所の長は当該の保護観察処分の少年に対して警告することができます(67条)。それにも関わらず、遵守事項が守られないような場合には、児童自立支援施設又は児童養護施設に送致か、少年院送致の対応をおこなうよう申請することができます(67条)。

 保護観察は、保護観察対象者の改善更生を図ることを目的として、指導監督、補導援護をおこなうことで実施されます(第49条)。指導監督は、面接などにより保護観察対象者の行状を把握することや、特定の犯罪的傾向を改善するための専門的処遇を実施することなどによってなされます(第57条)。また補導援助は、保護観察対象者が自立した生活を営むことができるようにするためにその自助の責任を踏まえつつ、適切な住居や宿泊場所を得ることや宿泊場所に帰住することを助けたり、医療及び療養を受けることを助けたりすることによってなされます(第58条)。

 親族からの援助を受けることができなかったり、公共の衛生福祉に関する機関などから医療や宿泊、職業その他の保護を受けることができない場合などには、緊急に金品を給与、貸与したり、宿泊場所への帰住、医療、療養、就職、教養訓練を助けたりする更生緊急保護がなされます(第85条)。この更生緊急保護は、保護観察所の長が必要と認める場合に限り行われます(第86条)。

 保護観察所の長は、保護観察処分を受けている少年が保護観察を継続する必要がないと認めた場合に解除することができます(69条)。また、対象となる仮退院者や仮釈放者の退院や刑の執行の終了は、保護観察所の長の申し出を受けた地方更生保護委員会の決定をもってなされます(74条、78条)

関連問題

●2018年-問56 ●2018年(追加試験)-問68問106[問115] ●2019年-問113 ●2020年-問67問123

参考文献

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