精神保健及び精神障害者福祉に関する法律:精神保健福祉法

精神保健及び精神障害者福祉に関する法律:精神保健福祉法

 この法律は、精神障害者の福祉の増進及び国民の精神保健の向上を図ることを目的としています(第1条)。

 精神障害者への対応には、本人の同意なしに行うことができる強制力が強いものもあります。また、病状によっては入院中に行動を制限するようなこともあるため、そういった処置が適切におこなわれるよう、特定の条件を満たした医師のみにその権限が与えられています。そのような権限をもった医師は精神保健指定医と言われ、精神保健指定医になるためには、(1)5年以上診断又は治療に従事した経験を有すること。(2)3年以上精神障害の診断又は治療に従事した経験を有すること。(3)厚生労働大臣が定める精神障害につき厚生労働大臣が定める程度の診断又は治療に従事した経験を有すること。(4)厚生労働大臣の登録を受けた者が厚生労働省令で定めるところにより行う研修(申請前一年以内に行われたものに限る。)の課程を修了していること。といった条件があります(第18条)。

 緊急の場合には、指定医に変えて、特定医師という別の基準によって定められている医師による診察がおこなわれることもあります(第21条第4項)。特定医師の基準については、(1)四年以上診断又は治療に従事した経験を有すること。(2)二年以上精神障害の診断又は治療に従事した経験を有すること。(3)精神障害の診断又は治療に従事する医師として著しく不適当と認められる者でないことです(<精神保健及び精神障害者福祉に関する法律施行規則(第5条の3)>)

 精神障害者の入院形態は、任意入院、医療保護入院、応急入院、措置入院/緊急措置入院とに分けられます。任意入院とは、精神障害者自らの同意による入院です(第20条)。この入院においては、特別な要件は必要なく、精神保健指定医の診察も不要です。任意入院の場合、退院の申し出があった場合には原則としてその申し出に応じなければなりませんが(第21条第2項)、指定医の診察の結果入院継続の必要があると見なされた場合には、72時間に限って退院させないことができます(第21条第3項)。

 任意入院のように本人に入院の意志がない場合であっても、精神障害者又はその疑いのある者を知つた者は誰でも、その者について指定医の診察及び必要な保護を都道府県知事に申請することができます(第22条)これと関連して、保護観察所の長は、保護観察に付されている者が精神障害者又はその疑いのある者であることを知ったときは、速やかにその旨を都道府県知事に通報しなければなりません(第25条)。また、矯正施設の長は、精神障害者又はその疑のある収容者を釈放、退院又は退所させようとするときは、あらかじめ、決められたの事項について本人の帰住地の都道府県知事に通報しなければなりません(第26条)。警察官が、自傷他害の可能性のある精神障害者を見つけた場合には、直ちに、その旨を最寄りの保健所長を経て都道府県知事に通報しなければなりません(第23条)。

 医療保護入院とは、自傷他害の恐れはないが任意入院をおこなう状態にない者を対象とした入院です。本人の同意がなくとも、家族の同意によって入院させることができます(第33条)。精神保健指定医のかわりに特定医師による診察でも可能ですが、その場合は入院期間が12時間までと制限されます(第33条第4項)。医療保護入院に際しては、都道府県知事は、家族もしくは市町村長の同意を得たうえで、精神科病院に移送することができます(第34条、第34条第2項)。精神病院の管理者は、医療保護入院者の退院後の生活のために、退院後生活環境相談員を選任しなければなりません(第33条の4)。

 応急入院とは、任意入院をおこなう状態になく、急速を要し、保護者の同意が得られない者を対象として、都道府県知事が指定する精神科病院の管理者がおこなう入院です。この入院に際しては、精神保健指定医の診察が必要であり、入院期間は72時間以内に制限されます(第33条の7)。精神保健指定医でなく、特定医師による診察でも可能ですが、その場合入院期間は12時間までとなります(第33条の7第2項)。

 措置入院とは、入院させなければ自傷他害の恐れがある精神障害者を対象とした入院です(第29条)。措置入院には、精神保健指定医2名の診断の結果が一致することが必要で(第29条第2項)、一致した場合に都道府県知事が措置を行います。緊急措置入院は、原則的な手続きを踏むことが難しいほど急を要する入院の必要性がある者を対象として都道府県知事が、1名の指定医の診察によっておこなう入院です(第29条の2)。入院期間は72時間以内に制限されます(第29条の2第3項)。

 入院中は、必要に応じて患者の行動の制限を行うことができます(第36条)。ただし、隔離などの行動の制限は精神保健指定医が必要と認めなければ行うことはできません(第36条第3項)。このことに関して、「精神保健福祉法第37条第1項の規定に基づく厚生大臣が定める処遇の基準(平成26年3月改訂)」には、通信・面会、隔離、身体拘束、任意入院者の開放処遇の制限に関して、細かな基準が記されています。隔離については、同室に患者を複数人隔離してはいけないことや、患者に隔離をおこなう理由を知らせるように努め、隔離を行った旨及びその理由並びに隔離を開始した日時及び解除した日時を診療録に記載することが記されています。また、毎日医師により少なくとも1回の診察が行われます。身体的拘束についても隔離と同様、当該患者に対しては身体的拘束を行う理由を知らせるよう努めるとともに、身体的拘束を行った旨及びその理由並びに身体的拘束を開始した日時及び解除した日時を診療録に記載することが記されていますまた、入院患者は、手紙の発受の制限などについては、制限を受けることはありません(第36条第2項)。

関連問題

●2018年-問58 ●2018年(追加試験)-問105 ●2019年-問65 ●2020年-問50問107

参考文献

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