障害者の権利に関する条約

障害者の権利に関する条約

 この条約は、「全ての障害者によるあらゆる人権及び基本的自由の完全かつ平等な享有を促進し、保護し、及び確保すること並びに障害者の固有の尊厳の尊重を促進すること」を目的といています(第1条)。
 この条約では、「障害による差別」には、合理的配慮の否定を含むあらゆる形態の差別が含まれると定義しています。また、「ユニバーサルデザイン」については、調整又は特別な設計を必要とすることなく、最大限可能な範囲で全ての人が使用することのできる製品、環境、計画及びサービスの設計と定義しています(第2条)。

 このように、合理的配慮をすることを含め、平等差別をしないこと、に加え、主な内容として、障害者が積極的に関わること(第4条)、バリアをなくしていくこと(第9条)、自立した生活と地域で共に暮らすこと(第19条)などが記されています(外務省 2018)。

 その他にも、締約国は、あらゆる形態の搾取、暴力又は虐待の被害者となる障害者の身体的、認知的及び心理的な回復、リハビリテーション並びに社会復帰を促進するための全ての適当な措置(保護事業の提供によるものを含む。)をとることが示されています(第16条の4)。
 また、締約国は、障害者が他の者との平等を基礎として移動の自由、居住の自由及び国籍についての権利を有することを認めます(第18条)。
 さらに、他の者との平等を基礎として、障害者の個人、健康及びリハビリテーションに関する情報に係るプライバシーを保護します(第22条の2)。

 政治及び公的活動への参加に関して、締約国は、障害者に対して政治的権利を保障し、及び他の者との平等を基礎としてこの権利を享受する機会を保障するものとして、(a)障害者が、直接に、又は自由に選んだ代表者を通じて、他の者との平等を基礎として、政治的及び公的活動に効果的かつ完全に参加することができること(障害者が投票し、及び選挙される権利及び機会を含む。)を確保すること、(b)障害者が、差別なしに、かつ、他の者との平等を基礎として、政治に効果的かつ完全に参加することができる環境を積極的に促進し、及び政治への障害者の参加を奨励すること、を約束しています(第29条)

関連問題

2022年-問55

参考文献

  • 外務省 2018 障害者権利条約