労働安全衛生法

労働安全衛生法

 この法律は、労働基準法と相まって、職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的としています(第1条)。労働安全衛生法では、事業所内の安全衛生管理体制をはじめとして、事業者が労働者の安全衛生のために講じるべきことを中心に規定しています。事業者とは、事業を行う者で、労働者を使用するものを指します(第2条第3項)。労働者は、労働災害を防止するため必要な事項を守るほか、事業者などが実施する労働災害の防止に関する措置に協力するように努めなければならないとされます(第4条)。

 事業所内の安全衛生管理体制に関しては、産業医の選任について触れられており、常時50人以上の労働者を使用する事業場では、産業医を選任しなければならないとしています(<労働安全衛生施行令第5条>。

 労働安全衛生法は、世情を反映して度々改定されています。

 昭和63年には、第69条の改正や、第70条の2が新設などされました。これを根拠に、事業者は労働者の健康の保持増進を図るため必要な措置を継続的かつ計画的に講ずるように努めなければならないとされます(第69条)。そして、この事業所の講じる措置に関して、厚生労働大臣が指針を公表します(第70条の2)。この指針が「事業場における労働者の健康保持増進のための指針(トータル・ヘルス・プロモーション指針:THP指針」や「労働者の心の健康の保持増進のための指針(メンタルヘルス指針)」です。

 平成26年には、第66条の10が新設され、心理的な負担の程度を把握するための検査等についても規定されました。事業者は、労働者に対して心理的な負担の程度を把握するための検査を行わなければならないとされます(第66条の10)。いわゆるストレスチェック制度です。そして、厚生労働大臣は、そのために必要な指針を公表します(第66条の10の7)。これは「心理的な負担の程度を把握するための検査及び面接指導の実施並びに面接指導結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針」として公表されています。

 労働安全衛生法と労働安全衛生法施行令を実施するために定められている<労働安全衛生規則>には、心理的な負担の程度を把握するための検査等についての詳細も記されています。常時50人以上の労働者を使用する事業者は、一年以内ごとに一回、定期に、心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書を所轄労働基準監督署長に提出しなければならなりません(第52条の21)。実施者は、医師、保健師、検査を行うために必要な知識についての研修を修了した歯科医師、看護師、精神保健福祉士又は公認心理師(第52条の10)です。また、検査を受ける労働者について解雇、昇進又は異動に関して直接の権限を持つ監督的地位にある者は、検査の実施の事務に従事できません(第52条の10第2項)。検査結果は、検査を受けた労働者に遅滞なく伝えられます(第52条の12)。検査の結果、心理的な負担の程度が高く、検査をおこなった医師が面接指導を受ける必要があると認めた場合、面接指導の対象となります(第52条の15)。事業者は、面接指導の結果に基づいて面接指導の結果の記録を作成し、五年間保存しなければなりません(第52条の18)。

関連問題

●2018年-問28問135 ●2018年(追加試験)-問107問147 ●2019年-問33問148

参考文献