因子分析

因子分析

因子分析とは、変数間の相関関係を分析して、因子と呼ばれる少数の仮説的潜在的変数を想定し、その因子によって変数間の関係を説明する技法です。
例えば、学力について考えた場合、「国語」、「算数」、「理科」、「社会」、「英語」各々の能力には、「文系能力」や「理系能力」といった潜在的に関連している要素がありそうです。
因子とは、種々の検査や質問紙の項目、あるいは測定値や観測などの変数を説明するために仮定された、直接には観察できない「潜在変数」であり、一種の仮説構成体です。因子分析は、テストや質問項目などの変数が多すぎて、全体の意味をつかみにくいときに、その本質的な情報を失わないようにしながら、少数の分かりやすい変数(因子)に集約し整理していく方法です。
因子分析をおこなうと、各々の変数から想定される共通因子(潜在変数)と、それが各々の変数にどの程度の強さで影響しているかを示す因子パターン(因子負荷量)、また共通因子では説明しきれない各変数に独自の成分である独自因子(残差成分)などを見ることができます。

因子分析には、集められたデータが論理的に仮説された構造にうまくフィットするかを検証するための確認的因子分析と、因子を探索的に見出すための探索的因子分析があり、因子分析とした場合には一般的に後者を指します。ここでは、以下特別な記載がない限り、探索的因子分析を因子分析として、話を進めていきます。

因子分析では、得られたデータから任意の方法によって共通性を推定することを通して因子を抽出し、それを基に因子軸を任意に回転させ因子負荷量を求めていきます。
共通性とは、共通因子によって説明できる分散の合計です。これによって、「国語」や「算数」といった各項目がどの程度の共通性と独自性を持ち合わせているかがわかります。
また、因子を抽出する過程で、各成分によって説明できる分散の合計が固有値として得られ、これを基に因子数を決めていきます。
因子数が決まれば、それに基づいて因子パターンを推測します。因子パターンは、各因子の各観測変数への影響力である因子負荷量を行列で示したものです。これは-1~+1の範囲の値をとり、0に近づくほど当該観測変数と当該因子とは無関係ということを意味します。
ここで得られた結果をより分かりやすくするために、因子軸を回転させます。
因子負荷量を因子Ⅰと因子Ⅱの2次元空間にプロットし、ここに直行した2軸を加えて原点をそのままに回転させます。このように回転しても、それぞれの空間的関係や距離などは変化しないため、より因子の意味が分かりやすいように操作することができるのです。
因子軸を直交させたまま回転させる方法は、因子の直交回転といわれます。これに対して、軸を1本ずつ自由に回転させることもでき、その場合には軸が斜めに交わるようになるため、因子の斜交回転と呼びます。
軸を直交に固定したままで適当な位置を探す直交回転よりも、軸を各々適当に操作できる斜交回転の方が柔軟性が高く、単純構造へ近づきます。単純構造とは各因子が一部の測定変数のみに影響を与え、しかも測定変数が1つの因子のみから影響を受けるようになった状態です。
直交回転では因子同士の相関が無い事が想定されていますが、斜交回転では軸が直交ではないため因子間に相関があることが想定されます。そのため、必ず相関が算出されます。また、直交解では一致している各因子負荷を要素とする因子パターンと、各因子と各観測変数の相関係数を要素とする因子構造が、斜交解では軸が斜めに交わったことで一致しなくなるため、因子パターンだけでなく、因子構造も算出されます。
因子分析の結果は、分析にどのような変数を入れるかによって変わり、不適切な項目が多くなると結果が安定しません。そのため、得られた結果を吟味しつつ手を加え、より安定した適切な結果を得られるように分析を重ねていきます。
こうして最終的に得られた因子が何を意味しているかを考え、因子に適切な名前をつけていきます。

参考文献

  • 服部環・海保博之(著) 1996 Q&A心理データ解析 福村出版株式会社
  • 山上暁・倉智佐一(編著) 2003 新版 要説 心理統計法 北大路書房
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