観察法

観察法

観察法は、実験法や調査法、検査法とは異なり、基本的には観察対象者の内的表現を要求せず、観察者が第三者的立場から客観的に、対象者の行動を見て、それを記録していく研究方法です。

観察法には、対象者の行動に何の統制も加えず生活空間内での日常行動をそのまま観察する自然観察法と、研究目的に沿って観察の対象となっている事態に対し何らかの条件統制を加えて観察する実験的観察法という、大きく2種類の方法があります。ただし、実験観察法という場合は基本的に実験法と変わらないことも多く、実験法とは独立に観察法があるというよりも、各研究法で重なる部分があります。

身の回りで観察可能なものというと、ものの数秒であってもその情報量は膨大なものです。観察可能なすべての事象をそのまま研究の対象としていくことは、現在の科学では非常に困難です。そこで、あらゆる観察可能なものの中から特定の観察するものを絞り込んで研究を進めていきます。

観察法による研究では、日常生活の中で偶発的に遭遇した出来事を記録するという方法でおこなわれることがあり、ある特定の個人を、日常的な行動の流れの中で観察、記録すると方法を日誌法と呼びます。

あらかじめ最初に見たい行動や現象を特に絞り込むことなく臨む場合もありますが、現実的にかけられる時間や労力に制限がある場合が多いため、いくつかの基準に従って観察の対象を選択して研究を進めていくこともあります。

その一つが場面見本法です。場面見本法とは、観察したい出来事や行動が起こりやすい代表的な場面を決めて観察をおこなう方法です。勉強しているときの様子を観察したければ、例えば、公園ではなく図書館という場面で観察をおこないます。

また、観察した事象そのものに着目して観察を進める方法として事象見本法があります。この場合、図書館でも、喫茶店でも、ファーストフード店でも、勉強が起きているかどうかを基準に観察を進めていきます。その事象が生じる機会を待たなければなりませんが、図書館以外の状況も踏まえつつどのような文脈で勉強がはじまるかなどについても見られ、事象全体を捉えていくことができます。

他にも、観察対象がどうかでなく、いつからいつと時間を決め、その間に生じたことを記録していく時間見本法という方法もあります。例えば、夕方の6時から9時という時間を設定したら、勉強をする以外にも、食事をしたりお風呂に入ったりするかもしれませんが、その時間内での事象を観察していきます。さらに、観察の単位を何秒と区切ってみていくようなこともあります。普段の行動頻度を把握したいときに用いられますが、もともと世紀頻度が低いような事象を対象にするのは難しく、また時間単位で区切っていくため、時間的な因果関連について見過ごしやすくなるといわれています。これらの選択方法は研究の目的にそうように使い分けられ、場面見本法と時間見本法などは組み合わせて使われることもあります。

研究ではただ観察して終わりということはないように、観察する事象をどのような枠組みでとらえるかを決めるのとあわせて、観察されたものをどのように記述するかについても考えおく必要があります。

事象を記述する方法の1つとして、行動描写法があります。生起している事象を時間的な流れに沿って自由記述する方法です。

また、観察する項目やカテゴリーがあらかじめ決まっている場合は、観察前に行動のカテゴリーを作成しておき、観察場面で該当する行動が生起したらチェックしていくといった行動目録法も取られます。

さらに評定尺度法という、具体的な行動を1つ拾い上げるのではなく、行動の特質をいくつかの評価次元に沿って評価する方法もあります。例えば、勉強を、椅子に座って本を開いている状態としてではなく、集中力や持続力などの観点から“非常に低い”から“非常に高い”までを段階的に評価するようなものです。

観察法でも他の研究法と同様、各々の方法の特徴を踏まえ、研究の目的にかなった方法を採用していきます。

参考文献

  • 南風原朝和・市川伸一・下山晴彦 2001 心理学研究法入門‐調査・実験から実践まで 東京大学出版会
  • 岡野陽太郎・岡隆(編) 2004 心理学研究法‐心を見つめる科学のまなざし 有斐閣アルマ

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