乳児期

生後1年または1年半くらいまでを乳児期と呼びます。
初語や歩行・離乳がその終期を示す一般的特徴とされます。

原始反射

生後4~5か月の正常な新生児おいて特徴的に観察される反射的行動を総称して、原始反射とよびます。これらには、口腔内の触刺激による吸啜反射、手掌や母趾球を指で圧迫すると屈曲が見られる把握反射などがあります。生まれて間もない子どもは、これらの反射的な行動によって外界に反応しながら、適応的な行動を発展させていきます。
他にも、ドイツのモロー(Moro,E.)により報告されたモロー反射があります。赤ん坊の背中と頭を支えて仰向けにした状態で、上体を数cm上方に起こし、手で支えながら急に頭部を落下させると、両手と両足を左右対称的に外側に伸ばし、それに続いてゆっくりと抱き込むような上肢の運動が観察されます。このような動作をモロー反射といいます。同様の動作は、頭部の落下だけでなく、大きな音や、赤ん坊の寝ているベッドに強い振動を与えることによっても引き起こすことができます。この反射は、誕生後およそ3カ月頃から消失し始めます。反射が出現するべき月齢にそれらが観察されなかったり、消失するべき月齢になっても残存している場合は、何らかの中枢性の障害が考えられます。
また、足の裏の外縁をゆっくりと踵からつま先に向かってこすることによって、母趾が背屈し他の4趾が開くバビンスキー反射という反射もあります。これは、成人では普通みられないため病的反射とよばれます。

ストレンジシ・チュエーション法

乳児期からそれに続く幼児期にかけて、母親を代表とする養育者との間で特別な関係性が築かれていきます。例えば、多くの赤ん坊は生後6,7カ月になると、母親以外の人との関わりを避けるような仕草が見られるようになりますが、ここからは母親とそれ以外の人とが区別され、母親との間に他の人とは違った関係性が築かれたことがうかがえます。
このような特定の対象に対する特別の情緒的結びつきのことを、ボウルビィ(Bowlby,J.)は愛着と名づけました。この時期の良好な母子関係が、その後の人格形成や精神衛生の基盤になるとされています。
乳児期の母子間の情愛的結びつきの質を観察し測定する方法として、エインズワース(Ainsworth,M.D.S.)のストレンジ・シチュエーション法が知られています。
ストレンジ・シチュエーション法は、人みしりの激しい満1歳時の乳児が、母親と見知らぬ部屋(実験室)に入室して見知らぬ人物(実験者)に会い、母親はこの人物に乳児を託して退室して、しばらくしてまた戻ってくるというもので、全体で下の8つのエピソード場面からなります。

  1. 実験者が母子を室内に案内、母親は子どもを抱いて入室。実験者は親に子どもを降ろす位置を指示して退室。
  2. 母親は椅子にすわり、子どもはオモチャで遊んでいる。
  3. ストレンジャーが入室。ストレンジャーは空いている椅子にすわる。
  4. 1回目の母子分離。母親は退室。ストレンジャーは遊んでいる子どもにやや近づき、働きかける。
  5. 1回目の母子再会。母親が入室し、ストレンジャーは退室する。
  6. 2回目の母子分離。母親も退室し、子どもはひとり残される。
  7. ストレンジャーが入室。子どもをなぐさめる。
  8. 2回目の母子再会。母親が入室し、ストレンジャーは退室する。

一連の流れの中で、母親との分離後や再開時などの様子から子どもの愛着の質を探ります。その結果はいくつかの群に分類されます。
A群は、親との分離時に泣いたり混乱を示したりすることがなく、再会時に母親を避け、親を安全基地として利用することがほとんどない、回避型と呼ばれる一群です。
B群は、分離時に多少の泣きや混乱を示すが、再会時には親に身体的接触を求め、容易に落ち着く一群で、親を活動拠点(安全基地)として積極的に探索行動を行うことができ、安定型と呼ばれます。
C群は、分離時に非常に強い不安や混乱を示し、再会時は身体的接触を求める一方、親を叩いたり怒りを示したりと両価的にふるまう一群です。親から離れず、親を安全基地として安心して探索行動を行うことができず、両価型とされます。
これらの群の他に、母親に接近し始めたものの途中で立ち止まり床にひっくり返って泣き出したまま近づくことができないなど、効果的でない方法で母親への接近を求め、その行動に整合性や一貫性がない未解決型と呼ばれるD群があります。
一般的にBタイプは安定型、A、Cタイプは不安定型と捉えられますが、いずれも個性の範囲であり、病理性を示唆するDタイプとは区別されます。

参考文献

  • 子安増生・二宮克美(編) 2004 キーワードコレクション 発達心理学[改訂版] 新曜社
  • 西川隆蔵・大石史博(編)2004 人格発達心理学 ナカニシヤ出版

関連ページ

  1. 乳児期
  2. 幼児期
  3. 児童期
  4. 青年期
  5. 成人期
  6. 老年期