動機づけ

目次
動機づけ理論
動機づけの種類
動機づけ変数
欲求
関連問題
関連ページ

動機づけ理論

行動が生起するために必要な内的状態を動因、外的条件を誘因といい、総称して「動機」といいます。また、人間が内外の刺激の影響を受けて行動を駆り立てられる過程を表す言葉の一つで、行動を発現させる内的状態を「欲求」と言います。そして、行動を一定の方向に向けて生起させ、持続させる過程や機能の全般を「動機づけ」といいます。
動機づけの概念は、行動の発現と維持にかかわるすべての要因を含んだものとも考えられますが、動機づけ概念の捉え方は各研究パラダイムによって異なり、確定的なものはないとも指摘されています。
動機づけを考える際に、動因に重きを置いた理論に動因理論があります。これは、動機づけの説明として、生活体の内的緊張状態を強調し、その緊張状態の解消が行動を動機づけるとする理論です。ハル(Hull,C.L)の動因低減説では、動機づけられた行動は動因や欲求によって喚起され、これらの動因や欲求を満足させ低減させた反応が強められると考えられました。ただし、特に回避行動の説明においてその難点が指摘され、その有効性はほとんど失われてしまったと考えられています。

動機づけの種類

動機づけのうち、その動機が引き起こす活動以外の賞に依存しない動機づけを内発的動機づけと呼びます。内発的動機づけは、生体を本来怠けものとして捉え、不都合な状態(不快な緊張状態としての動因)が生じないかぎり、自ら進んで行動したり学習したりしないと見た動因低減説に反論する形で提言されました。内発的動機づけに対して、活動が外的報酬の獲得や罰の回避といった何か他の目的のための手段としておこなわれるときに外発的動機づけに基づく行動と言われます。
内発的動機づけは、外的報酬によって低減されることが知られています。これは、過正当性効果やアンダーマイニング効果と呼ばれ、外的報酬が予期されている場合、鮮明である場合、活動内容と無関連である場合などに生起し、様々な外的報酬を使った研究によって支持されています。
動機づけの種類に関しては、内発的動機づけのほかに、独自性を発揮しつつ卓越基準に長期にわたって挑む達成動機や、他の人と友好的な関係を成立させそれを維持したいという親和動機が挙げられます。

動機づけ変数

動機づけを媒介する変数としては、自己効力感(self-efficacy)などが知られています。
自己効力感はバンデューラ(Bandura)によって取り上げられた、刺激と反応を媒介する変数のうちの1つで、自分自身がやりたいと思っていることの実現可能性に関する知識や、自分にはこのようなことがここまでできるのだという考えです。自己効力感は、自分で実際に行ってみること、他人の行動を観察すること、自己強化や他者からの説得的な暗示、生理的な反応の変化を体験してみることなどによって、個人が作り出していくものだと考えられています。特定の行動や反応が自分には確実にできるという効力感が高まることで、心理生理的反応の制御までも可能になることが示されています。

欲求

上述のように、人間が内外の刺激の影響を受けて行動を駆り立てられる過程を表す言葉の一つで、行動を発現させる内的状態であり、動機づけと関連する概念として、「欲求」が挙げられます。
欲求に関して、マズロー(Maslow,A.H.)は、人間は自己実現に向かって絶えず成長していく生き物であるとの人間観に立ち、人間の欲求を低次から高次の順に①生理的満足、②安全と安定、③所属と愛情、④承認と自尊心、⑤自己実現と分類し、欲求の階層を考えました。このうち、第一層から第四層までを欠乏欲求と名付け、上位の欲求は下位の欲求がたとえ部分的にせよ満たされてはじめて発生すると考えました。そして、欠乏欲求がすべて充足されると最高(第五)層にあたる高次欲求、すなわち自己実現欲求が生じるとしました。

<参考文献>
日本行動科学学会(編) 1997 動機づけの基礎と実際 川島書店
中島義明・安藤清志・子安増生・坂野雄二・繁桝算男・立花政夫・箱田裕司(編) 1999 心理学辞典 有斐閣

関連問題

2018-145.
2018(2)-56,125

関連ページ

一般心理学

スポンサーリンク
cottonをフォローする
公認心理学-公認心理師試験合格のための心理学-