オペラント条件づけ

オペラント条件づけ

 私たちの行動には、レスポンデント行動のような、刺激に対して無条件におこる反応以外にも、自発的に生じる行動があります。例えば、食べるものを探して冷蔵庫を開けたり、食料がストックしたり戸棚をあけたりするような行動です。このように自発した行動を、オペラント行動と呼びます。
 食べ物を探している最中に、食器棚を開けたとき、そこに食べるものが置いてあったとします。すると、次回から、食器棚の中を探すことが増えることは想像に難くないと思います。オペラント行動の生起には、行動の結果が大きく影響してきます。食器棚の中の食べ物が食べられていることを承知しながら、食べ物を入れ続けることもできます。オペラント行動に刺激を随伴させ、その生起頻度や強度、反応時間などを変容させる操作、およびその過程をオペラント条件づけと呼びます。
 ソーンダイク(Thorndike,)は、空腹のネコを箱の中に入れて箱の外に餌を置き、猫が特定の行動をとるときに餌が食べられるようにする実験をおこない、学習のためには反応が環境に対して何らかの効果をもつことが必要であるとする、効果の法則を提唱しました。

強化、罰(弱化)

 食器棚の中を探すという、条件づけの対象となったオペラント行動の、条件づけ前のもともとの生起頻度をオペラント水準と呼びます。オペラント条件づけにおいて、反応に随伴した後続の結果によりその反応の生起確率がオペラント水準に比べて増加した場合、その事態や過程もしくは操作を強化と呼びます。そして、後続の結果としての刺激を強化子と呼びます。食器棚の中の食べ物は、食器棚の中を探すという行動を増加させることになっているので、食器棚の中を探すという行動に対する強化子と見ることができます。

 強化子は様々に分類されます。レスポンデント条件づけでは、中性刺激と無条件刺激の対呈示によって中性刺激が条件刺激となり、条件反応を誘発する機能を獲得したように、中性刺激と強化子との対呈示によって中性刺激が強化子と同じような機能を有するようになります。中性刺激と随伴されたもともとの強化子は、過去にそのような随伴性操作がなくてもその機能を有していたということで無条件強化子、あるいは1次強化子と呼ばれます。
 また、1つの中性刺激に、複数の無条件強化子を随伴させるような場合に、複数の無条件強化子のそれぞれはバックアップ強化子とも呼ばれます。この随伴によって、貨幣のように、その中性刺激は強力な般性条件強化子になります。
 他にも、刺激の性質が物理的実体(食物、金銭)を伴っているか、それとも活動への従事(遊び、会話)によって表わされるかで、実体的強化子、プレマック型強化子と分類されたりします。

 上記の場合は、食器棚の中を探した結果、食べ物が見つかるという結果が伴ったことで、食器棚の中を探すという行動が増えていますが、このように、刺激が呈示された結果、反応が増えることを正の強化と呼びます。例えば、食べ物を探して勝手にいろいろなところを探さないように注意されていたものが、注意されなくなると、それで食べものを探す行動が増える場合などがそうです。この場合は、注意という刺激が除去されることで、おやつを食べるという行動が増えてることが見て取れます。

 強化の手続きでは刺激が呈示された結果行動が増えましたが、刺激が除去されることで反応が増えることもあります。それを、負の強化と呼びます。負の強化は逃避行動や回避行動と関連があります。負の強化を成立させる環境の変化は、刺激の消失ですが、消失には嫌悪刺激が環境内から取り除かれることと、嫌悪刺激が出現しないという2つの形態があります。嫌悪刺激の消失をもたらす行動は逃避行動、嫌悪刺激の非出現をもたらす行動は回避行動です。

 回避は伝統的には、能動的回避と受動的回避に区分され、前者は特定の反応を出現することによって、後者はその場面で起こりやすい反応を出現しないことで、その後に負の強化で除去される刺激の出現を妨げます。例えば、ブザーが電気ショックに先行して提示され、それが鳴っている間に柵を越えれば電気ショックを回避できるようなケースは能動的回避にあたります。

 行動の後の刺激の提示によって、強化のように行動の頻度が増加することがある一方で、行動の頻度が減少することもあります。このような刺激を罰や弱化子と呼び、刺激を呈示することで行動頻度が減少することを正の罰(弱化)、逆に刺激を取り除くことで行動頻度が減少することを負の罰(弱化)と呼びます。

強化スケジュール

 行動に対する強化の仕方は様々にあります。その強化の仕方のルールを、強化スケジュールと呼びます。強化スケジュールにおいて、ある行動が起きたら常に強化子を随伴させるものを連続強化、常にではなく時々強化子を随伴させるものを部分強化と呼びます。さらに部分強化では、どのような条件で強化子を随伴させるかという条件を決めることができ、一定の時間間隔で強化が随伴するものを定間隔強化(定時隔強化)、強化が随伴する時間間隔が変わるものを変間隔強化(変時隔強化)と呼びます。また、一定の反応回数で強化が随伴するものを定比率強化(定率強化)、不定数で強化が随伴するものを変比率強化(変率強化)と呼びます。食器棚を探したときに、常に食べ物があった場合(連続強化)、食器棚に食べ物が入っていないということがある程度続いた時には、食器棚を開けて食べ物を探さなくなるでしょう。一方で、食器棚を探したときに、食べ物があるときもない時もある場合(間隔強化)には、食器棚に食べ物が入っていないということがある程度続いた時でも、次はあるかもしれないとその後も食べ物を探すことは続くでしょう。このように、一般的に、連続強化よりも、間隔強化のほうが消去抵抗が高いといわれています。

学習性無力感

 どのような行動をとったとしても、その行動になんら成果が伴わない場合には、あきらめが生じます。セリグマン(Seligman,M.E.P.)は、統制不能の電気ショックを与えられ続けたイヌが、別の統制可能な状況において、自ら電気ショックから逃れようとせずうっずくまったままであったことについて、電気ショックが逃避不能であり、自分の行動が無力であることを学習したとして、学習性無力感と呼びました。

関連問題

●2018年-問23 ●2018年(追加試験)-問39 ●2019年-問82

引用・参考文献

  • 小野浩一 2005 行動の基礎 豊かな人間理解のために 培風館
  • 坂上貴之・井上雅彦 2018 行動分析学-行動の科学的理解をめざして 有斐閣アルマ
  • 宮下照子・免田賢 2007 新行動療法入門 ナカニシヤ出版
  • 無藤隆・森敏昭・遠藤由美・玉瀬耕治 2018 心理学新版 有斐閣
  • 中島義明・安藤清志・子安増生・坂野雄二・繁桝算男・立花政夫・箱田裕司(編) 1999 心理学辞典 有斐閣
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