社会的交換理論

社会的交換理論

 社会的行動、特に対人相互作用を行動のやりとりとして考え、このやり取りを通して人々が互いに影響い合う過程を記述し分析しようとする立場に立つ、諸理論の総称を社会的交換理論と呼びます。社会的行動を交換とみなすことと、交換の過程を記述する際にオペラント条件付けに基づく強化理論の用語と基礎的な経済学の用語を適用するといった点が諸理論に共通しています。
 例えば、挨拶をした時の事を考えてみます。挨拶をする際は、その分、時間やエネルギーを使います。交換に際して、支払わなければならない努力や犠牲や価値をコストと呼びます。そして挨拶の結果、相手が笑顔で会釈をしてくれたり、心地よさや満足感が得られたりします。このような、交換によって手に入れるものを報酬と呼びます。また、報酬からコストを引いたものを利益と呼びます。
 一般的には、コストをできるだけ小さく、報酬をできるだけ大きくする方向で利益を増すような交換を望むと仮定されています。そのため、何らかの利益を生む対人相互作用は正の評価を受けて続き、利益を生まない対人相互作用は中断される可能性があると考えられます。

関連問題

●2021年-問90

引用・参考文献

  • 小川一夫(監修) 1995 社会心理学用語辞典 改定新版 北大路書房