集団思考

集団思考

 外部との境界があり、その成員間に積極的な心理的あるいは機能的な相互関係や相互行為のある集まりを集団と呼びます。

 集団を1つにまとめ、その成員を集団にとどまるように働きかける様々な心理学的な力の総体を集団凝集性と呼びます。集団凝集性が高いほど集団の特徴が促進されることが知られています。例えば、成員たちは目標に向かって互いに協力し合う傾向が強く、結果的に集団の課題遂行にプラスに働くことも多いとされます。

 一方で、凝集性の高さがマイナスに働くこともあります。凝集性の高い集団では、集団内での意見の一致を過度に重視するあまり、メンバーが個人的な疑問を抑圧し、他のメンバーとの意見の対立を回避して、冷静な現実認識や客観的な判断ができなくなることが知られています。こういった思考様式を集団思考と呼びます。
 集団思考では、楽観的になり極端なリスクを受け入れようとする、集団の道徳基準のみにしたがう、決定の再検討でなく正当性に重きをおくようになる、外的な集団に対して否定的で画一的なステレオタイプ的判断をおこなう、集団の意見に異議を唱える事をさける、多数派の見方や判断を全員の一致した意見だと思い込む、集団の見方に異議を唱えてはならないというプレッシャーがかかる、集団決定に不都合な情報を検討しないように働きかけるメンバーがあらわれる、といった徴候が見られることが指摘されています。

 また、集団での意思決定は、極端になりやすいことが知られています。個人のもともとの意見や判断が、何らかの集団経験後、より極端になる現象を集団分極化、集団極性化などと呼びます。より危険性の高い決定がなされるリスキー・シフトと、より安全性の高い決定がなされるコーシャス・シフトとがあります。

関連問題

●2018年-問14

引用・参考文献

  • 池田謙一(他・著) 2010 社会心理学 有斐閣
  • 小川一夫(監修) 1995 改定新版 社会心理学用語辞典 北大路書房
  • 齊藤勇(編) 2011 図説 社会心理学入門 誠信書房