内観療法

内観療法

 内観療法とは、吉本伊信が開発した日本独自の心理療法の一つです。吉本伊信自身が数回にわたって試みた宗教的難行「身調べ」に由来するといわれています。

 自分にとって重要な人物との関係を、(1)お世話になったこと、(1)(お世話を)して返したこと、(3)迷惑をかけたこと、の3点に絞って具体的に調べます。これらから、自己中心的な行動を反省し、迷惑をかけたにもかかわらず許してくれ、世話をしてくれた人々の愛情の深さに触れることで、自己理解や他者理解が進み、自己像や他者像が改善されて洞察が生まれるとされます。内観の形態は、研修所に1週間宿泊しておこなう集中内観と、日常生活の中でおこなう日常内観とがありますが、集中内観は内観の基本練習であり、研修所から帰って日常の中でおこなう日常内観が重要であるとされます。
 内観は、一般的には、まずはじめに母親(もしくは母親代わりの養育者)に対する自分を内観のテーマにそって小学3年まで調べ、その後は3~5年きざみで現在、または別れた時まで調べます。その後、父親や、既婚者の場合は配偶者や子ども、未婚者であれば祖父母や兄弟姉妹、友人などと内観の対象を広げていきます。集中内観の場合、1日の大半を内観のために使い、定期的に部屋に訪れる指導者に対して短くまとめて報告します。また、内観法への理解を深め、日常内観を刺激するために、「自己発見の会」という全国組織が結成され、講演会や研修会、電話相談などの活動をおこなっています。

参考文献

  • 真栄城輝明 2013 内観療法の場合 精神療法39(2) p.33-41.
  • 三木善彦 2014 内観療法の現在および今後の展開と課題 精神療法40(1) p.92-66.
  • 氏原寛・亀口賢治・成田善弘・東山紘久・山中康裕 2004 心理臨床大事典(改訂版) 培風館