犯罪被害者支援
犯罪支援者への支援は、以前から各省庁単位でありましたが、2004年(平成16年)には犯罪被害者等のための施策に府省庁横断的に取り組み、総合的かつ計画的に推進していくために、犯罪被害者等基本法が制定されました。そしてこれに基づいて、犯罪被害者等基本計画が策定されています(犯罪被害者基本計画 平成17年12月)。
犯罪被害等を早期に軽減するとともに、犯罪被害者等が再び平穏な生活を営むことができるよう支援することを目的するものに、公安委員会が指定する犯罪被害者等早期援助団体があります。犯罪被害者等早期援助団体では、犯罪被害者等の支援に関する広報活動及び啓発活動を行ったり、犯罪被害等に関する相談に応じたり、犯罪被害者等給付金の申請補助をしたりして、犯罪行為の発生後速やかにかつ継続的に、犯罪被害者等に対して援助を行います(犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律 第23条)。
また、被害者をはじめ、その親族、目撃者やその他参考人などに、事件の処理の結果や公判期日、刑事裁判の結果などを通知する、犯罪者等通知制度があります。この制度では、事件の処理結果として、公判請求や略式命令請求、不起訴や中止などの通知を受けたり、有罪裁判確定後の加害者について通知を受けたりすることができます(被害者等通知制度実施要領について)
これらのほかにも、加害者の司法手続きの各段階に応じて、被害者に対する支援のしくみが様々にあります(犯罪被害者の方々へ)。
裁判段階の被害者支援
裁判の段階では、被害者は加害者の刑事手続きに参加し、公判に出席したり、被告人に供述を求めたりすることができます(被害者参加制度(刑事訴訟法第2編第3章第3節))。対象となる事件は、故意に人を死傷させた場合、強制わいせつ(刑法第176条)、強制性交等(刑法第177条)、準強制わいせつ及び強制性交等(刑法第178条)、監護者わいせつ及び監護者性交等(刑法第179条)、業務上過失致死傷等(刑法第210条)、逮捕及び監禁(刑法第220条)、略取、誘拐、人身売買など(刑法第224条から第227条)です。また、それらが含まれる行為や未遂のもの、自動車の運転による過失運転致死傷といった事件も対象となります(刑事訴訟法第316条の33)。
また、証人尋問の際には、犯罪被害者に限定せず、適当と認められた場合には証人の供述中に証人に付き添わせることができますが(刑事訴訟法第157条の4)、犯罪被害者が被害者参加制度により公判期日や公判準備に出席する際にも、適当と認められる場合に付添人を付き添わせることができます(刑事訴訟法第316条の39)。
こういった、被害者参加制度のほかにも、第1回公判の後から事件が終わるまで、公判記録の閲覧と謄写を求めること(犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律第3条)などができます。
少年事件の裁判に関する被害者支援
少年事件においては、少年事件の記録の閲覧・謄写(少年法第5条の2)、被害者等の申し出による意見聴取(少年法第9条の2)、故意の犯罪行為により被害者を死傷させた罪や業務上過失致死、自動車運転による過失致死事件における、被害者等による少年審判の傍聴(少年法第22条の4)、被害者等に対する審判状況の説明(少年法第22条の6)、審判結果等の通知(少年法法第31条の2)といった支援をうけることができます。また、有罪判決後の加害者に関しても、犯罪被害者等通知制度により、通知を受け取ることができます(犯罪被害者等通知制度実施要綱について)。
執行段階の被害者支援
裁判の段階がおわり、刑の執行の段階を迎えると、加害者の仮釈放に際して、意見を述べることができます(意見聴取制度(更生保護法第38条))。また、保護観察対象者に対して、被害に関する心情や被害者等の置かれている状況、保護観察対象者の生活、行動に関する意見を伝えることができます(心情伝達制度(更生保護法第65条))。
金銭的な被害者支援
人の生命又は身体を害する罪に当たる行為によって、被害を受けた被害者や遺族に対して、遺族給付金や重傷病給付金、障害給付金が給付されます(犯罪被害給付制度(犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律第4条)
また、特定の犯罪によって財産的被害を受けた者に対しては、被害回復給付金が支給されます(被害回復給付金制度(犯罪被害財産等による被害回復給付金の支給に関する法律第3条))。
関連問題
参考・引用文献
- 検察庁 犯罪被害者の方々へ-被害者保護と支援のための制度について-