問題
30 歳の女性 A、会社員。A は、精神科病院において入院治療を受けている。20 代後半より抑うつエピソードを繰り返していたが、医療機関の受診歴はなかった。入院の1か月ほど前から口数が多くなり、卒業後交流のなかった高校時代の友人たちに電話やメールで連絡を取るようになった。衝動的な買い物が増え、職場での尊大な態度が目立つようになった。心配した家族の支援で入院となり、1か月が経過した。症状は改善しつつあるが、依然として口数は多く、睡眠は不安定である。Aは、仕事を休んでいることへの焦りを主治医に訴えている。
この時点での公認心理師の A への支援として、最も適切なものを1つ選べ。
① 障害年金制度について情報を提供する。
② 幼少期の体験に焦点を当てた心理面接を行う。
③ 会社の同僚に対する謝罪の文章を A と一緒に考える。
④ 毎日の行動記録を表に付けさせるなどして、生活リズムの安定を図る。
⑤ Aの同意を得て、復職の時期について職場の健康管理スタッフと協議する。
正答
④
解説
症状は改善しつつあるものの、口数は少なく睡眠は不安定という状態のクライエントに対する関わりについての問題です。どのような関わりをするにしても、それを受けられる状態が整っている必要があります。心理状態に焦点をあてた支援のためには、身体面などの下地が整っている必要があります。そのため、最も基礎となる部分を整えるための支援が適切だと考えて、生活リズムの安定を目指す④にあたりをつけられると思います。少なくとも、同様の理由から②は除外されるでしょう。また、③はそもそも意図がよくわかりません。好意的に解釈して、それが気分の安定に、ひいては睡眠の安定に有効だと考えた結果の行動なのかもしれませんが、それよりは直接的に生活リズムをの安定を図ることが明記されている④を素直に選びます。
⑤は、現在の状態が整いきっていないというところで、復職に話を進めるのは時期尚早でしょう。
①については、情報提供という点では侵襲性も低く②、③、⑤よりは悪くない選択肢かなと思いますが、この状態のAにその情報が活かせるか不明ですし、④と比較すると積極的に選択しにくいと思います。
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