問題
7歳の男児A、小学1年生。登校しぶりがあり、母親Bに伴われ市の教育センターに来室した。Bによると、Aは、「クラスの子がみんな話を聞いてくれない」、「授業で何をやったら良いのか分からない」と言っている。Bは、Aが教室内での居場所がないようで心配だと話した。公認心理師である相談員CがAに話しかけると、Aは自分の好きなアニメの解説を一方的に始めた。
Aに対する支援をするに当たり、Aの適応状況に関する情報収集や行動観察に加え、CがA自身を対象に実施するテストバッテリーに含める心理検査として、最も適切なものを1つ選べ。
① AQ-J
② CAARS
③ CAT
④ NEO-PI-R
⑤ WISC-Ⅳ
正答
⑤
解説
検査の選択が問われる問題ですね。問題文から7歳のAはコミュニケーションや状況理解の難しさがありそうで、「アニメの解説を一方的に始めた。」あたりはASDをにおわせています。そして選択肢を見てみると、ASDのスクリーニング検査が①ありますね。そこで、「よし、この臨床像からASDの可能性がある!だから答えは①だ!」と息巻いて①を選択すると間違えるという問題です。Bが聞いたAの訴えからは、ASDの可能性が疑われますが、「授業で何をやったら良いのか分からない」といった訴えあたりからは、知的に低い可能性も棄却できなそうです。見立ては、生物学的な水準から心理的な水準へ、が基本になります。耳が聞こえない人に聴覚刺激を用いた記憶検査をおこない結果が悪かった場合、記憶力に問題があるわけではありませんね。もっと根本的な水準の聴覚に問題があるわけで、その視点が抜け落ちてしまうと大きく見立てそこなうことが起きかねません。検査も同様で、それが疑われる場合は特に、よりベースとなる知的能力を見立てていくことが優先されます。よって正答は⑤となります。
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