帰属理論

帰属理論

 自己および自己を取り巻く環境に生起するさまざまな事象に対して因果的な解釈を行なう過程を帰属過程と言い、それに関する理論を帰属理論と言います。社会的相互作用の中で生じる行動の観察に基づいて、その行動に関与する個人的要因・状況的要因を特定する過程、行為者の固有属性を推測する過程であり、対人認知の過程との関連もあります。

 原因帰属(因果性の帰属)の過程では、行為者の行動の原因が内的要因(能力・性格などの属性)にある(内的帰属)か、周囲の状況的・外的要因にある(外的帰属)かが焦点となります。例えば、試験で良い点を取った時、その理由を「自分の能力が高いから」とか、「勉強を十分にしたから」とするように、自己あるいは他者の行為の結果を、当の個人の特性・属性に帰属させることを内的帰属と言います。また、他者が階段からすべり落ちるのを見て、「あわて者だから」などと判断する場合も内的帰属にあたります。これに対して、試験で良い点を取った理由を、「問題がやさしかったから」、「運が良かったから」と判断する場合、自己・他者の行動結果を状況要因に帰属させているので外的帰属といいます。階段から落ちた人を見たときに、「階段が湿っていたから」とする場合が外的帰属です。

 帰属は常に正しいとは限らず、歪みが生じることが知られています。ある人のある行為を見たとき、その観察された行為の原因として、行為者の性格や態度、能力と言った内的属性を過度に重視する傾向がある一方、行為者を取り巻く環境などの状況要因を過小評価する傾向を、基本的帰属の錯誤と言います。似たものとして対応バイアスがありますが、こちらは行動から態度や性格などの内的特性を推測する際に対応推論をしすぎる傾向という意味で、より限定的に用いられます(外山 2001)。
 また、観察者は行為の原因を行為者の内的属性に帰属する傾向がある一方、行為者自身は自分の行為の原因を状況要因に帰属する傾向があり、これを行為者-観察者バイアスと言います。
 他にも、ある事象についての帰属をおこなう際に、その事象を促進する原因と抑制する原因が同時に存在する場合には、促進的な原因に重みがつけられて推論される割増原理や、特定の効果を引き起こす原因がそれと同一の効果を説明する他の原因の存在の原因によって過少に判断される割引効果、自分が成功した場合は自分の能力の高さや努力といった内的要因を原因と考える一方で、失敗した場合には、課題の困難さや運の悪さといった外的要因を原因と考えやすい、セルフ・サービング・バイアスなどが知られています。

関連問題

●2018年(追加試験)-問10問150

引用・参考文献

  • 日本心理学諸学会連合 心理学検定局(編) 2015 心理学検定 基本キーワード[改訂版] 実務教育出版
  • 小川一夫(監修) 1995 改定新版 社会心理学用語辞典 北大路書房
  • 齊藤勇(編) 2011 図説 社会心理学入門 誠信書房
  • 外山みどり 2001 社会的認知の普遍性と特殊性-態度帰属における対応バイアスを例として- 対人社会心理学研究1 pp17‐24
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