不安障害
不安障害は、精神疾患の中で、不安を主症状とする疾患群をまとめた名称です。そもそも不安は、1820年代以前にはメランコリー状態の一部と考えられ、それ自体が疾患とされるようなことはほとんどありませんでした。これが1894年、フロイト(Freud,S.)によって不安神経症という独立した一つの疾患として記述されるようになりました。
不安障害は、名前にもある通り不安、およびそこから派生する恐怖を特徴とした障害です。何に不安を感じるかによって、分離不安障害や社交不安障害、全般的不安障害などに分けることできます。また、不安障害の中でもパニック障害は、不安が典型的な形をとって現れている点で、不安障害を代表する疾患ともされます。パニック障害では広場恐怖を伴うことが多く、両者の関連については長期に議論されてきました。
DSM-5では、不安症群/不安障害群に、分離不安症/分離不安障害や社交不安症/社交不安障害、パニック症/パニック障害、全般不安症/全般不安障害などが分類されています。このうち全般不安症/全般不安障害の不安は、落ち着きのなさや疲労しやすいこと、集中困難、易怒性、筋肉の緊張、睡眠障害などが伴うとされます。
不安障害の治療は、パニック障害でも抗うつ薬のSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)と抗不安薬のベンゾジアゼピン誘導体(BZD)を中心とした薬物療法と、精神療法である認知行動療法を基本として行います。厚生労働省の研究による治療ガイドラインでは、急性期の治療では、薬物でパニック発作やそのほかの不安症状を出来るだけ軽減させ、それでも広場恐怖症状が続く場合は、認知行動療法、中でも曝露療法をおこなうよう勧めています。
関連問題
引用・参考文献
- 厚生労働省 みんなのメンタルヘルス パニック障害・不安障害
- 上島国利(監修) 2005 神経症性障害とストレス関連障害 株式会社メジカルビュー社
- 松下正明(総編) 1997 臨床精神医学講座 第5巻 神経症性障害・ストレス障害 中山書店