ベンダー・ゲシュタルト・テスト
ベンダー・ゲシュタルト・テストは、ベンダー(Bender,L)によって発表された9個の幾何学図形を被検査者に模写させる検査です。9つの図形はヴェルトハイマー(Wertheimer,M.)が視知覚に関する研究に用いたデザインの中から適宜選んだものと、ベンダー自身が考案したものとでできています。検査名やヴェルトハイマーのデザインが使用されていることからもわかるように、この検査は、ゲシュタルト心理学を背景に作成されており、単なる図形の模写ではなく、ゲシュタルト図形の模写であることがこの検査の特徴です。
単なる図形の模写とは異なり、ゲシュタルト図形の模写の場合には、刺激に全体として反応する必要が出てきます。ベンダーは、このゲシュタルト化する過程に注目しました。ゲシュタルト図形の模写の正確性の程度は、心理的な問題の程度との関連があることが分かっており、環境の刺激に充分に反応する能力の増減によって模写の正確性が変化すると考えられています。こういったことからもわかるように、ゲシュタルト図形を模写する際には、模写する人の人格的要因が反映されるとベンダーは考えました。
検査は、11歳以上の児童・成人にはパスカル(Pascal,G.R.)とサッテル(Suttell,B.J.)の施行法と整理法に、5歳~10歳の児童に対してはコピッツ(Koppitz,E.M.)の施行法と整理法にのっとっておこなわれます。施行においては、9つの図形が1つずつ描かれた9枚のカードと、A4の白紙1枚と鉛筆を使います。カードに描かれた図形を白紙に自由に模写してもらいます。
描かれた図形は、基準となるチェックポイントと照らし合わせながら、得点がつけられて数量化されます。また、ハット(Hutt,M.L.)とブリスキン(Briskin,G.J.)は、描かれ方からどういった解釈ができるかを研究しており、解釈の参考とすることができます。
関連問題
●2018年(追加試験)-問90、問138 ●2019年-問23、問88
参考文献
- 高橋省己 1976 ベンダー・ゲシュタルト・テスト・ハンドブック(増補版) 三京房
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