自律訓練法
自律訓練法とは、Schults,J.Hによって提唱された、注意の集中、自己暗示の練習により、全身の緊張を解き、心身の状態を自分でうまく調整できるようになるように工夫された段階的訓練法です(氏原ら 2004)。
佐々木(1976)によれば、Schults.J.H.は、催眠状態の治療効果を検討する中で、催眠状態になった人にその時の感じを話してもらい、催眠そのものの特徴を検討していきました。そして、催眠のエッセンスを抽出し、ある一つの状態が得られたら次の練習に移るといった具合に段階的に練習を組み立てていき、だれでも自分でできるようにしていきました。
自立訓練法の標準練習は以下の7段階の練習からできています。
- 背景公式(安静練習):「気持ちが(とても)落ち着いている」
- 第一公式(重感練習):「両腕両脚が重たい」
- 第二公式(温感練習):「両腕両脚が温かい」
- 第三公式(心臓調整):「心臓が静かに規則正しく打っている」
- 第四公式(呼吸調整):「らくに呼吸をしている(あるいは、呼吸がらくだ)」
- 第五公式(腹部温感練習):「太陽神経叢(あるいはお腹)が温かい」
- 第六公式(額涼感練習):「額が(こころよく)涼しい」
練習においては受動的注意集中が重要とされます。リラックスを目的とした練習も、例えば第一公式で「気持ちを落ち着けよう」という目的意識をもって努力すると、必然的に緊張が生じてきます。そのため、気持ちを落ち着かせる練習ではなく、すでに落ち着いている状態を自覚する練習と考えて進めていきます。
関連問題
引用・参考文献
- 佐々木雄二 1976 自律訓練法の実際 心身の健康のために 創元社
- 氏原寛、亀口賢治、成田義弘、東山紘久、山中康弘 2004 心理臨床大事典 培風館