後見制度

後見制度

 後ろだてとなって世話をすることを後見と言いますが、民法では、未成年に対する未成年後見人と、成年に対する成年後見人について定められています。

 成年後見制度とは、認知症、知的障害、精神障害などにより物事を判断する能力が十分でない人について、本人の権利を守る援助者を選ぶことで、本人を法律的に支援する制度です。成年後見制度には、本人の判断能力が不十分になった後に、家庭裁判所によって選任された成年後見人等が本人を法律的に支援する法定後見制度と、本人が十分な判断能力を有する時に、あらかじめ任意後見人や将来後見人」に委任する事務の内容を契約で定めておき、本人の判断能力が不十分になった後に、任意後見人が委任された事務を本人に代わっておこなう任意後見制度があります。(家庭裁判所 成年後見制度-利用をお考えのあなたへ―、法務省民事局 いざという時のために知って安心 成年後見制度 成年後見登記制度)

 このうち、法定後見制度では、成年被後見人やその親族をはじめ、その他の利害関係人の請求を受けて、家庭裁判所が成年後見人を選任します(民法第843条))。後見人には、家庭裁判所によって本人や親族以外も選任されえます。ただし、未成年者や家庭裁判所で免ぜられた法定代理人、保佐人又は補助人、それに破産者、被後見人に対して訴訟をした人やその配偶者をはじめ直系血族、行方のわからない者は後見人になれません(民法第847条)。

 法定後見制度は、本人の判断能力に応じて、「後見」、「保佐」、「補助」の3種類があります。

 成年被後見人は選挙権及び被選挙権を有しないものとされていましたが、平成25年の公職選挙法の一部改訂によって、選挙権を有することになりました(成年被後見人の選挙権の回復等のための公職選挙法等の一部を改正する法律等の施行について(施行通知))。

 また、知的障害・精神障害・認知症等の利用対象者の数に比べ、成年後見制度の利用者数が少なく、保佐・補助及び任意後見の利用も低調であることから、成年後見制度の周知を図る必要があるとされ、利用の促進が計画されています(成年後見制度の利用の促進に関する施策の実施の状況(令和3年3月))。

関連問題

●2019年-問103 ●2021年-問32

引用・参考文献