問題
統合失調症の特徴的な症状として、最も適切なものを1つ選べ。
① 幻視
② 観念奔逸
③ 情動麻痺
④ 被影響妄想
⑤ 誇大的な認知
正答
④
解説
統合失調症の特徴的な症状は、幻覚、妄想とまとめられる、非現実的で誤った知覚、思考です。
②観念奔逸とは、いろいろな考えが浮かんで連想がどんどん飛ぶような状態をさします。これは思考の状態に関係する用語です。統合失調症の思考障害の一つとして、ブロイラーの挙げた連合弛緩が知られていますが、これは顕著になると言葉のサラダ(単語や句の支離滅裂な羅列・混合)と言われるような思考内容がおえなくなる滅裂思考になるように、観念奔逸とは質の異なるものです。観念奔逸は、躁状態と関連のあるものとされています。
①幻視は視覚に関する幻覚です。DSM-5では幻覚が診断基準の1つになっていますが、統合失調症で幻視は珍しく、幻視がある場合には他の脳気質疾患を除外する必要があります。
②、①についてはこのような点から積極的に否定、保留できますが、他の選択肢については個人的に難しく感じました。
③情動麻痺とは、読んで字のごとく情動が麻痺した状態です。統合失調症の感情と関連する症状の一つとしては、ブロイラーが言及している、外界や自分自身に対して無関心な状態を示す感情鈍麻があります。情動麻痺と感情鈍麻の違いは感覚的に何となくわかる気もしますし、情動の麻痺はDSM-5では解離感の状態として触れられているように離人の文脈で使われやすいようでもありますが、感情鈍麻は情動麻痺と部分的に重なるところもありそうで、感情鈍麻と感情麻痺が違うものを表しているのかといわれると確証をもてません。
⑤妄想の種類には誇大妄想もあります。誇大的な認知の「認知」がどういう定義なのか不明ですが、誇大妄想を誇大的な認知ととらえられなくもないように感じます。
③、⑤が統合失調症の症状の特徴として正しいと積極的に判断しにくい中で、④については、被影響妄想という用語が一般的なのかはわかりませんが、被影響体験や作為体験といった能動性にまつわる意識や思考の問題は統合失調症の特徴で、疑わしい点が他の選択肢に比べて相対的に少なく感じます。
このようにして正答に④を選ぶことはできると思いますが、個人的には答えにくい問題だと思いました。
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