問題
16 歳の男子A、高校1年生。万引きにより逮捕され、少年鑑別所に収容された後、家庭裁判所の審判により保護観察処分となった。Aは、審判終了後すぐに母親Bと共に保護観察所に来た。A の居住する地域を担当している保護観察官C が、初回の面接を行うことになった。審判直後であり、家庭裁判所からは、氏名、年齢、非行名、遵守事項に関する意見など、最小限の情報が届いている。
C の初回面接における対応方針として、最も適切なものを1つ選べ。
① 特別遵守事項を設定する。
② 担当する保護司が同席できるよう手配する。
③ 保護処分の決定に対する抗告について説明する。
④ 関係構築を優先し、家族関係や成育歴についての質問は控える。
⑤ 家庭裁判所において既に確認されているため、事件内容についての質問は控える。
正答
①
解説
保護観察官の導入面接についての問題です。
保護観察の処遇を受ける事がきまった被保護観察者は、保護観察を受けるにあたってまず保護観察所に出頭し、保護観察官の面接を受けます。保護観察官は導入面接において、生活行動の指針などを検討していきます。その際、特別遵守事項についても検討していくことになります。これらを踏まえて、担当保護司を指名し、指導などを進めていくことになります。導入面接の後に保護司が指名されるという処遇の流れから、②は誤答となります。
また、今後の生活行動の指針や特別遵守事項を検討していくにあたって、④や⑤について話をする事も不可欠でしょう。そのため、④、⑤も誤答となります。
残りの選択肢は①と③ですが、②については上述のように、導入面接で話し合われます。ただし、特別遵守事項の設定自体は、保護観察処分少年に対しては、保護観察所の長がおこないます(更生保護法第52条)。そのため、設定するという標記は正確には正しくないと思われます。
また③について、少年法では、「保護処分の決定に対しては、決定に影響を及ぼす法令の違反、重大な事実の誤認又は処分の著しい不当を理由とするときに限り、少年、その法定代理人又は付添人から、二週間以内に、抗告をすることができる(第32条)」とあるように、2週間以内であれば不服申し立てをすることはできます。そのため、拮告について説明することはあるかもしれず、特に①が誤答の場合にはこれが相対的に適切な対応方針としては正答である可能性は捨てきれないと思います。
結局、正答は②なのですが、①は上述のように厳密には正しくない標記だと思われるため、個人的には②、③にまで絞れれば十分だと思います。また、②を適切な理由で誤答としてしまっていても良いと思います。この問題で②を選択できなかったからといって、自信をなくす必要はないでしょう。
関連ページ
少年非行、少年法、更生保護法
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